俺は妹と弟を殴り続けた。
父と母は共働きで、家に居たのはいつも爺と婆だけだった。
俺が毎日食卓で見たきた光景というのは、爺が婆にぶん殴る様だった。
戦時中、特攻隊に所属するはずだった爺は、一番下っ端で目上から暴力を振るわれるのが当たり前。年上は敬うものだが、年下にはどれだけ暴力を奮っても許される。そんな時代の人間だった。
いつしか俺も妹と弟に爺と同じような事を繰り返し始めた。
共働きしていた父と母も別居し、家庭は完全に冷え切っていた。
そんな家庭で学んだことといえば暴力と殴り続ける快感だけだった。
俺は息を吸う家のように妹を殴り続けた。
右肘、左肘、肋骨、足の小指
数えきれないほどの痛みと苦痛と叫びを妹に与え続けた。
妹の骨を折るのが快感になっていた。
そして俺はついに妹を。
精神疾患を患った妹は母方の海外の実家で生活している。
弟はいつも俺が妹を殴る様を見続けたせいか、パニック障害になっていた。
全て俺の責任で、全部俺が悪い。
いくら謝っても謝りきれない。どれだけ言葉をかけても、もう妹はその言語を理解できない。
もう俺の声は妹には届かない。
どれだけ自分を傷つけても、妹に与えた痛みや苦痛は味わえない。
どれだけ自分に枷を与えても、何も感じない。
どれだけ自分に思い罰を与えても、誰も許してくれない。
いつしか俺はひきこもりになった。
誰かを傷つけたくない、誰にも触れられたくない、誰の目線にも入りたくない。
俺は人に恐怖しか与えてこなかった。
もう俺に残された道はない。
神様、もうじきあなたの元へいきます。
どうか私を地獄の奈落へ導いて下さい。