のんの懺悔

5年前の私へ
あなたは今、人生の絶頂期でしょう。
毎日が楽しくて楽しくて仕方ない。
毎日が笑顔で溢れていて世界が鮮やかに見えているでしょう。
それもこれも全部、今貴方のそばにいる彼のおかげです。
彼が貴方を失意のどん底から救ってくれたよね。
いじめにあっていてボロボロだった私を助けてくれた。あの時、あなたが出かけなければ彼に遭うこともなかったでしょう。
本当に彼に感謝することしかできないはずです。彼がいればそれだけでいい。心の底から本当にそう思っていることでしょう。
あなたと彼は遠距離で一ヶ月に一度会えたらいい方だけど、一週間に一回の電話のために毎日を過ごしているよね？
けど、後もう少しでその楽しい日常ともお別れです。
あなたは彼のサッカーの試合を見に行くために試合会場へ向かうと思うけどその試合会場へ向かう前に一度でもいいから電話をかけてあげてください。その一瞬がもしかしたら彼を救えたかもしれない。
彼は試合開始直前に、交通事故でなくなります。
あなたはきっとスタメンで出るはずの彼が出てなくて不思議に思うでしょう。彼は病院に運ばれますがこの世から去ってしまいます。
あなたは病院に着く頃には、ご家族の方の涙と別れの声が病室に響いていることでしょう。
あなたは事故に遭う日の朝のメールを思い出すはずです。
彼の絶対に点を取るから、見とけ！の文が最後になるなんて思わなかったはずです。
あなたは深い後悔に苛まれるでしょう。それから学校もしばらく休みがちになります。
あなたは、彼と同じ場所へ行くために何度も楽になろうとします。
でもね、彼はきっとその場にいたらきっと泣いて怒るはずです。
彼は、あなたにとって唯一無二の存在です。それと同じく彼もあなたが唯一無二の存在であると言ってくれていましたよね。
彼はあなたを月と言いました。
月は真っ暗の中で唯一、存在を放つことができる。だから、俺は月を見て綺麗だって思うんだ。月の光と高層ビルの夜景の光じゃ釣り合いが取れないほど月光の方が綺麗に見えるだろ？そう言ってくれましたね。
そして、あなたはこう返すはずです。
じゃあ、あなたは太陽ねって。
彼は疑問におもって、あなたに理由を尋ねますがあなたは笑顔ではぐらかします。
本当に心の中で思っていたのは、こうでしたよね？
太陽みたいに朗らかに笑ってみんなを照らしてくれる彼は太陽が似合う。それに、月は太陽があってこそ輝くのだと。太陽がなければ、人は月の優しい光を見ようとも思わない。逆に月がなければ人は明るい光を求めるだろうと。
あなたは、彼にたくさん言い残したいことがあるはずです。でも、あなたは彼の亡骸を見て何も言えません。
ただ泣き叫ぶだけ。でも、一言でいいから、今までありがとうと言ってあげてください。
今の私は夢の中に彼が出てくることがあります。
彼はやっぱり朗らかに笑っているのです。だから、絶対に死ぬのだけはやめてください。彼が生きるはずだった人生を捨てないでください。
私は天国にいる彼に言いたいです。
私は今でも、あなたを愛し続けています。
だから、待っていてください。
私がこの人生を終えた時、何が何でもあなたを探し出します。そして、私の人生をあなたに話したい。あなたと生きていた喜びを共有したい。だから、それまで私を見守ってください。天国が本当にあるのか、どういうところなのかも私には全くわからないけど絶対にあなたを見つけます。
最後にひとつだけ。
私はね、未だに彼にだけにしか使っていないし使うつもりもない言葉があるよ。
あなたを心から愛しています。